人生(たび)の途中で3-1






初めて乗った飛行機は、快適だった。

北の地は朝方11℃と寒かった。

機内の中で考えていた事は、これからの生活をどうするか?そして早く兄貴が動いて指定した口座に振り込んでもらえればと考えていた。

雲の上を飛んでいた時にまるで高いビルのような形の雲があり不思議な感じを持ちながら兄貴急いでくれるようにエルヒムに祈っていた。

羽田空港に着きモノレールで東京駅へ行き、そこから新幹線に乗り換えた。

新幹線も修学旅行以来だった。

新幹線の停車駅から更にJRに乗り換えしてついにA市に着いた。

沢口和代いや、今は柳瀬和代から連絡を受けていた仲間が迎えに来てくれていて車で新居まで案内してくれた。

到着して車を下りると暑さでふらっとしてしまった。

気温は30℃を越えているという。

朝と気温差が19℃もありこちらはまだまだ真夏のようだった。

とにかく全くこれまでとは違う生活が始まるのだ、何が待っているのかわからない。

送ってくれた兄弟姉妹はこれをどうぞと弁当を出してくれて戻って行った。

荷物は月曜日じゃなければ来ない為に少し不便を辛抱しなければならない。


翌、日曜日に新しい牧集への最初の集会に出かけた。

すると、成員達は離れた所からこちらを見てヒソヒソ話をしている。

昨日送迎してくれた山田兄弟姉妹はすぐに近づいてくれたが、あまり他所者に寛容でない地域性からなのか近寄って来ないのだ。

それでも主牧者の須賀兄弟と川田兄弟はすぐに近づいてくれ挨拶してくれた。

もう1人主牧者がいて加藤という。

彼の話し方を聞いて、もの凄く不安になってしまった。

「コンニチハカトウトイイマスヨロシクオネガイシマス」

早口で言葉に区切りが無い為に何を話しているのかが分からないのだ。

かつてのM牧集の北山を思い出して不安感が増すのだ。

しかし後には戻れない、とにかくやらねばならない事が多過ぎる。

まずは仕事を探さねばならない。

昔のように独身では無いから理不尽な事を要求される事は無いだろう?と思っていたが、すぐにこの考えは打ち砕かれるのである。

その前に仕事が中々見つからない。

あっても地元の人間では無い為に採用される事は無かった。

やっとホテルの夜警の仕事を見つけるが、時間が長いのと安い時給で生活は苦しくなるのだ。

そして、まだ兄貴は動かずにいて何とか移動後の支払いは済ませたが、次回から難しくなる。

早く兄貴動いてくれ!の毎日だった。

夜警の仕事は深夜12時から翌朝8時半までが週に5回で以前のコンビニのバイトより長く辛かった。

本当は楽しいはずの新婚生活なのに仕事が昼夜逆転となり尚且つ証明活動もある為に夫婦でユックリ語り合う時間も無いのだ。

それで加藤に開拓証明者を降ろして欲しいと言うと信じられない言葉が帰って来た。

「ソウイウコトハユルサレマセン」

この時、頭に浮かんだのは大泥棒石川五右衛門が最後に残したと言われる、あのセリフだ。

「石川や浜の真砂は尽きるとも世に悪党尽きまじ」を自分用に替えた。

「柳瀬や浜の真砂は尽きるとも世に馬鹿主牧者尽きまじ」だった。

事実、加藤の存在が後々我々にとんでも無いモノをもたらすのだった。



そしてとうとう妻に借金がばれてしまった。

続く。







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Author:ゴン犬
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趣味:カップ蕎麦の食べ歩き
特技:マルちゃんの緑のタヌキと和庵の味違いが分かる

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